2010年6月20日日曜日

行政体制の整備●第9章

第2部
第9章

厚生労働白書21 235
第9章
行政体制の整備
第1節 年金記録問題等への対応
1 年金記録問題への対応
年金記録問題については、2007(平成19)年7月5日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会で
取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」、2008(平成20)
年6月27 日に年金記録問題に関する関係閣僚会議で了承された「年金記録問題への対応の今後の道筋」等
に基づき、着実に対応を進めている。
具体的には、以下のような対応を進めてきた。
① 年金記録を正しいものとするためには、国民の皆様お一人お一人に御自身の記録に「漏れ」や「誤
り」がないかを確認していただくことが何より重要であり、中核的な取組みとして、「ねんきん特別
便」を2007 年12 月から2008 年10 月までにすべての年金受給者及び現役加入者約1億9百万人に送
付した。
この「ねんきん特別便」に対して、2009(平成21)年5月末までに約7割(71%)に当たる7,754
万人の方から御回答をいただき、このうち約9割(92%)に当たる7,141 万人の方については、年金記
録の確認作業が完了した。
また、「名寄せ特別便」1に未回答の方や「訂正なし」と回答した方等に対する郵送・電話・訪問な
どによるきめ細やかなフォローアップ、「ねんきん特別便」に未回答の年金受給者の方に対する「回
答のお願い」の送付等お一人でも多くの方から御回答をいただけるよう取組みを進めてきた。
この「ねんきん特別便」の送付に伴う相談に対応するため、電話相談や来訪相談等の体制を整備す
るとともに、市町村、企業、労働組合、社会保険労務士などの御協力を得ながら、国を挙げた体制で
周知広報活動を展開した。
引き続き、「ねんきん特別便」に「訂正あり」と回答をいただいた方の記録の確認作業を進め、2009
年3月までに受け付けたものについては、2009 年中に記録の確認作業を完了するべく作業を進めてい
くこととしている。また、未回答の加入者の方については、「ねんきん定期便」に回答のお願いを同
封する等、お一人でも多くの方から御回答をいただけるよう取組みを進めていくこととしている。
② 「ねんきん特別便」による記録確認の取組みと並行して、住民基本台帳ネットワークを活用した調
査、旧姓情報を活用した調査等記録の内容に応じた様々な方法による未統合記録の解明作業を計画的
に進めてきた。
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第9章
236 厚生労働白書21
このような取組みの結果、2006(平成18)年6月に5,095 万件あった基礎年金番号に未統合の記録
は、
(ⅰ)既に基礎年金番号に統合済みの記録が約1,010 万件、
(ⅱ)死亡・脱退手当金受領等一定の解明がなされた記録が1,616 万件、
(ⅲ)名寄せにより特別便を送付した記録が774 万件、
(ⅳ)住基ネット調査等解明作業が進展中の記録が533 万件、
(ⅴ)今後解明を進め、最終的には公示を検討する記録が約1,162 万件
となっている(2009 年3月公表)。
残る未統合記録については、住民基本台帳ネットワークによる調査で「生存者」と判明した方への
「年金記録確認のお知らせ」の送付対象を拡大する等、解明・統合を進めていくこととしている。
③ 年金記録の訂正に伴う年金額の訂正(再裁定)については、受給者からの再裁定の申出を社会保険
事務所が社会保険業務センターに送付し、同センターにおいて実施している。
この再裁定事務については、人員を約500 名の体制に拡充するとともに、システム機能の強化など
により、その迅速化に取り組んでいるところである。
このような取組みにより、2009 年3月末の状況では、社会保険業務センターに進達されてから支
払いまでに、全体として6か月程度要していたものを、2009 年夏頃を目途に社会保険業務センター
への進達から3か月程度で処理できるようにすることを目指すこととしている。
④ 標準報酬等が不適正に遡及訂正処理されている問題については、まずは、2008 年10 月から、不適
正な遡及訂正処理の可能性が高い厚生年金受給者約2万人に対する戸別訪問による記録の確認及び
調査を実施し、2009 年3月までにおおむね終了した。
また、今後は、加入者については「ねんきん定期便」(2009 年度より毎年誕生月に送付)、受給
者については標準報酬等のお知らせ(2009 年中に送付開始)により、御自身に年金記録を確認いた
だくこととしている。
さらに、できる限り早期に年金記録を訂正するという観点から、2008 年12 月から、給与明細書に
より給与の実態が確認できる場合等一定の要件に該当する場合には、年金記録確認第三者委員会に送
付することなく、社会保険事務所段階で年金記録の訂正を行うこととしたところである。加えて、2009
年5月から、事業主への調査や事業所を管轄する社会保険事務所への調査により、事実に反する処理
が行われたと認められる場合も、積極的に社会保険事務所段階における記録訂正を行っているところ
である。
一連の調査により、職員の関与が明らかになった場合については、調査を行い、的確に対処するこ
ととしている。
⑤ 8億件超に上る紙台帳とコンピュータ記録の突合せについては、2008 年度より国民年金の特殊台帳
とコンピュータ記録との突合せに取り組んでいるところである。
このほか、国民年金や厚生年金の被保険者名簿等について、2009 年度に年金情報総合管理・照合
システム(画像検索システム)2の構築を行い、すべての受給者・加入者について、2010(平成22)
年度以降、計画的に突合せを実施することとしている。
年金記録問題については、引き続き、2009 年3月31 日に年金記録問題に関する関係閣僚会議で了承され
た「年金記録問題のこれまでの取組と今後の道筋」に沿って、年金記録問題への従事者数を全体で1万人
を超える規模とすること等により、2010 年1月1日の日本年金機構の設立までに一区切りつけることがで
きるよう集中的・計画的に取り組むこととしている。また、日本年金機構設立後に引き継がれる年金記録
問題への対応に係る業務については、日本年金機構において実施することとしている。
2 全国の市町村や社会保険事務所等に保管されている紙台帳を電子画像で取り込み、個人単位で集約した上で、簡単に検索できるよ
うにするためのシステム。
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国民の公的年金制度への信頼を回復するためにも、年金記録問題の解決に向けた取組みを進めていくこと
が重要であり、引き続き、全力を挙げて取り組むこととしている。
2 日本年金機構発足へ向けた取組み
社会保険庁の組織については、2007(平成19)年6月に「日本年金機構法」が成立し、これに基づき、
社会保険庁は廃止され、2010(平成22)年1月、新たに非公務員型の公法人である日本年金機構が設立さ
れることとなっている。
これにより、公的年金については、国が財政責任・管理運営責任を担いつつ、一連の運営業務は日本年金
機構が厚生労働大臣から権限や事務の委任・委託を受け、その直接的な監督の下で担うこととなる。そし
て、日本年金機構においては、①能力と実績による人事管理を導入して職員の意識改革を図り、②国民の
ニーズに応じた業務運営を的確に行うことにより更なるサービス向上を図り、③事務処理の集約化、外部
委託化などを進め、事業の適正かつ効率的な実施に努めることとしている。
2008(平成20)年7月には、内閣官房の「年金業務・組織再生会議」において取りまとめられた最終整
理等を踏まえて、日本年金機構の組織体制や職員採用についての基本的考え方などを示した「日本年金機
構の当面の業務運営に関する基本計画」が閣議決定された。さらに、厚生労働大臣が任命した設立委員が、
同基本計画に基づき、日本年金機構の職員の採用の基準及び労働条件を同年12 月に定めるなど、日本年金
機構が意欲と能力のある人材によって構築された国民に信頼される組織となるよう、その設立に向けた準
備を鋭意進めているところである。
また、社会保険庁の業務・意識をできる限り高いレベルに引き上げて2010 年の日本年金機構の設立につ
なげるため、社会保険庁の各般にわたる取組みの全体像と業務改革の到達目標を明らかにした「業務改革
プログラム」(2005(平成17)年9月策定)を2009(平成21)年1月に改定し、日本年金機構設立に向け
て取り組むべき項目に整理・重点化したところであり、現在、①年金記録問題への対応、②国民サービス
の向上、③保険料収納率等の向上、④事務処理の効率化と予算執行の無駄の排除、⑤内部統制の仕組みの
構築と職員の意識改革の推進の五つの柱の下で、各項目について実行しているところである。
「ねんきん定期便」について ~オレンジの封筒の方は特にご注意下さい~
2009 年4月から、国民年金・厚生年金のすべての現役加入者の方に対して、毎年誕生月に「ねんきん定期便」を送付し、
御自身の記録を御確認いただくこととしている。
2009 年度については、この「ねんきん定期便」において、すべての加入者の方に①年金加入期間(加入月数・納付済月数)、
②保険料納付額の目安、③加入実績に応じた年金見込額、④年金加入履歴(加入制度、事業所名称、資格取得・喪失年月日)、
⑤すべての期間の標準報酬月額(厚生年金)、⑥保険料納付状況(国民年金)を通知する。
2010 年度以降については、上記①~③が更新されるとともに、直近1年分の⑤及び⑥を通知することとなるが、節目年齢
時(35 歳、45 歳、58 歳)については、上記①~⑥すべての情報を更新し、通知する。
なお、年金記録について、注意を要する方については、封筒の色をオレンジとすることや注意喚起の文書を同封すること
等により注意喚起を行っている。
「ねんきん定期便」について、不明な点等があれば、「ねんきん定期便専用ダイヤル」(0570-058-555(一部のIP 電話及
びPHS については03-6700-1144))や社会保険事務所等の専用窓口で相談を受け付けている。
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第2節 社会保険・労働保険の徴収事務の一元化の推進
1 社会保険・労働保険徴収事務センターの設置
厚生労働省では、事業主の利便性の向上や行政事務の効率化を図る観点から、社会保険と労働保険の徴収
事務のうち、可能な事務について一元的な実施を行っている。
具体的には、2003(平成15)年に「社会保険・労働保険徴収事務センター」を全国の社会保険事務所内
に設置し、現在、以下の事務について一元的な実施を行っている。
(1)申請・届出の受付
社会保険料算定の基礎となる賃金の届出(社会保険の算定基礎届)や労働保険の保険料額の届出(労働保
険の年度更新申告書)、新たに労働者を採用した際に提出する被保険者資格取得届などの両保険に共通す
る申請・届出を一括して受け付けている。
(2)説明会の開催
社会保険、労働保険の適用事業所に対する説明会を開催し、両保険の申告・届出書の記載方法の説明、制
度改正の情報提供を行っている。
(3)事業所調査及び滞納整理の実施
社会保険、労働保険の賃金や保険料額に関する事業所調査、両保険の保険料を滞納している事業所に対し
て行う差押えなどの滞納整理を一括して実施している。
2 算定基礎届と年度更新申告書の提出期限の統一等
2007(平成19)年6月に「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律」
が成立し、2009(平成21)年度から労働保険の年度更新申告書の提出期限(5月20 日)を社会保険の算定
基礎届の提出期限である「7月10 日」に統一するなど、事業主の利便性の向上を図るための法律の改正が
施行されている。
また、今後とも、社会保険と労働保険の申請・届出様式ごとの記載事項の必要性も検証しつつ、共通様式
化を順次行うなど、運用面での工夫も継続することとしている。
なお、現在、一元的に実施している事務については、2010(平成22)年1月に社会保険庁の業務が日本
年金機構に引き継がれた後も引き続き実施することとしている。
第3節 独立行政法人、公益法人に関する取組み
1 独立行政法人に関する取組み
独立行政法人制度は、より良い行政サービスの提供を目的として導入された制度であり、厚生労働省が所
管する独立行政法人は、16 法人(共管法人2 法人を含む。)(2009(平成21)年4月1日現在)となって
いる。
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(1)中期目標期間終了時の見直し
独立行政法人制度においては、3年から5年の定められた期間(中期目標期間)の終了時に、組織体制や
業務全般に関する見直しが行われることとなっているところであるが、2008(平成20)年度に中期目標期
間が終了する独立行政法人労働者健康福祉機構、独立行政法人国立病院機構、独立行政法人医薬品医療機
器総合機構については、「経済財政改革の基本方針2007」において、前倒しで見直しを行うこととされた
ことから、2007(平成19)年度に見直しを行い、当該見直しを踏まえた次期中期目標等が策定された。
(2)「独立行政法人整理合理化計画」の推進
すべての独立行政法人について、「独立行政法人整理合理化計画」(2007 年12 月24 日閣議決定)に基
づき、事務・事業や組織の在り方等について見直しが進められた。
独立行政法人雇用・能力開発機構については、同計画において「法人自体の存廃について1年を目途に検
討を行う」とされたことを踏まえ、行政減量・効率化有識者会議や雇用・能力開発機構のあり方検討会等
における検討を経て、2008 年12 月24 日に、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止、職業能力開発業務
の独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構への移管等を内容とする「雇用・能力開発機構の廃止について」
が閣議決定された。今後は、可能なものはできるだけ地方や民間にゆだねていくとの視点に立って適切な
役割分担を図り、国の産業政策・中小企業政策等との連携を強化し、国の職業訓練業務を担う組織として
の役割・責任を十分に果たせるよう、ユーザーである地域の中小企業等のニーズを反映して、効率的・効
果的に職業訓練業務等を実施しうる体制を整備していくこととしている。
(3)国立高度専門医療センターの独立行政法人への移行について
国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)は、現在、国の医療機関として、六つのセンターにお
いて、それぞれの専門医療分野ごとに高度先駆的医療の提供や画期的治療法の研究、研修等を実施してい
るが、2008 年12 月に成立した「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」により、
2010(平成22)年4月1日から独立行政法人へ移行することとされた。これにより、各ナショナルセンターは、
その機能を更に強化し、我が国の医療政策の牽引車としてより一層大きな役割を担うこととしている。
2 公益法人に関する取組み
厚生労働省所管の特例民法法人(2008(平成20)年12 月1 日新制度施行後、従来の公益法人は法律上「特
例民法法人」となる。)は、2008 年12 月現在1,061 法人となっている。公益法人改革については、2006(平
成18)年6月に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定
等に関する法律」等が公布され、2008 年12 月1日に施行された。これらの法律の施行後、特例民法法人は
5年間の移行期間内に公益社団法人・公益財団法人への移行の認定の申請又は一般社団法人・一般財団法
人への移行の認可の申請ができる(移行期間内に移行しない公益法人は解散したものとみなされる)こと
とされているため、厚生労働省としても、所管の特例民法法人が定められた期間内にそれぞれ移行先を選
択できるよう取組みを進めているところである。
特例民法法人の指導監督については、2001(平成13)年2月、政府として全面的な見直しが行われ、厚生労
働省においても、指導監督の責任体制を確立するとともに、少なくとも3年に1回の立入検査(2005(平成
17)~2007(平成19)年の立入検査実施率98.1%)を実施するなど指導監督の一層の強化・徹底を図ってお
り、5年間の移行期間においても、引き続き所管特例民法法人の適正な業務運営の確保に取り組んでいく
こととしている。
第9章
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第4節 情報化の推進
1 情報化の推進
政府は、2006(平成18)年1月に策定した「IT新改革戦略」に基づき、2008(平成20)年6月には「I
T政策ロードマップ」を、同年8月には「重点計画‐2008」を策定し、目標達成のための諸施策を遂行し
ているところであり、厚生労働省においても、これらの戦略等に基づいて、医療分野や就労・労働分野、
行政サービス分野等におけるITによる改革に取り組んでいる。
また、2008 年7月に「IT新改革戦略評価専門調査会」の下に設置された「特別テーマ評価検討委員会」
においては、2008 年度のテーマとして「結婚・出産・妊娠・育児」が取り上げられ、これらの行政分野に
おける行政手続の簡略化に向けた検討が進められているところである。
さらに、政府は、2008 年秋に始まった未曾有の経済危機から脱却するため、2009(平成21)年4月に「デ
ジタル新時代に向けた新たな戦略~三か年緊急プラン~」を策定し、また、2015(平成27)年の我が国の
将来ビジョンを実現するため、2009 年7月に「i-Japan 戦略2015~国民主役の「デジタル安心・活力社会」
の実現を目指して」を策定したところである。
2 情報化の推進に向けた主な取組み
(1)厚生労働分野におけるIT利活用の促進
1)医療・健康・介護・福祉分野の横断的な情報化
「IT新改革戦略」において、医療・健康・介護・福祉分野の横断的な情報化方針、具体的なアクション
プラン等を示す情報化のグランドデザインを2006(平成18)年度末までに策定することとされたことを受
け、2007(平成19)年3月27 日に、「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」を決定し、
公表した。この中で、医療・健康・介護・福祉分野においてIT化が進められた将来の目指すべき姿を提
示するとともに、この将来の姿を踏まえ、2006 年度からおおむね5年間に厚生労働省が取り組むべき施策
及び事業の計画を示すアクションプランを盛り込んでいる。
現在、このアクションプランに基づき、段階的に、かつ、着実に施策を実施している。
2)医療・健康分野の情報化
医療・健康分野においては、ITの活用が、保健・医療の効率化、安全確保、質の向上に資するものであ
り、ITを活用した医療機関間の連携の促進、レセプトのオンライン化、健診情報等の活用等について取
り組んでいる。特に、レセプトのオンライン化については、医療保険事務全体の効率化を図るため、医療
機関等が審査支払機関に提出するレセプト及び審査支払機関が保険者に提出するレセプトについて、個人
情報の保護等に十分配慮した上で、2006 年度からオンライン化を進め、2011(平成23)年度当初から、原
則としてすべてのレセプトがオンラインで提出されるよう取組みを着実に進めている。
また、2008(平成20)年3月から、総務大臣と厚生労働大臣の下、「遠隔医療の推進方策に関する懇談
会」を開催し、2008 年7月に「中間とりまとめ」が取りまとめられた。
さらに、個人が自ら健康情報を管理し、健康管理等に活用するための基盤づくりを目的として、総務省、
経済産業省との三省連携の下、2008 年度から3か年計画で「健康情報活用基盤実証事業」を実施している。
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第9章
行政体制の整備●第9章
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3)介護・福祉分野の情報化
介護・福祉分野においては、高齢者や障害者等の自立支援や福祉サービスの質の向上を図るため、ITを
活用した生活支援機器の開発、在宅就労の支援に取り組んでおり、関連する国家資格に係る養成課程にお
けるIT・情報教育の導入等の検討を開始することとしている。また、介護保険レセプトデータを活用し、
介護サービスの高度化や質の向上、介護予防に一層効果的に推進することとしている。
4)社会保障カード(仮称)の導入
(経緯)
社会保障カード(仮称)については、2007 年7月5日に政府・与党が取りまとめた「年金記録に対する
信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」等において、①年金手帳、健康保険証、さらには
介護保険証としての役割を果たし、②年金記録等を自宅においても常時、安全かつ迅速に確認することを
可能にするものとして、2011 年度中を目途に導入することとされた。
これを受けて、厚生労働省は、2007 年9月より、「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」
を開催し、その実現に向けた検討を進めてきた。同検討会は、2008 年1月の「社会保障カード(仮称)の
基本的な構想に関する報告書」取りまとめ後も、そこで示された社会保障カード(仮称)導入による効果
を実現するための仕組み等について引き続き検討を重ね、同年10 月には「社会保障カード(仮称)の在り
方に関する検討会 これまでの議論の整理」を公表し、さらには、2009 年4月に、「社会保障カード(仮
称)の基本的な計画に関する報告書」を取りまとめた。
社会保障カード(仮称)の実現に向けた取組みは、現在政府において行われている人生の様々な場面にお
けるワンストップサービスやそのためのバックオフィス連携の実現等を図るための取組みの中に位置づけ
られるものであり、国民電子私書箱(仮称)構想などと連携して検討を進めることとしている(図表9-
4-1)。
5)就労・労働分野の情報化
第9章
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就労・労働分野においては、パソコンや携帯電話からインターネットを利用して容易に求人情報を入手す
ることができる官民連携した雇用情報システム「しごと情報ネット」について、求職者マイページ・メー
ル配信サービスを行う等、利用者サービスの向上を引き続き図っている。
(2)行政サービス分野におけるIT利活用の推進
行政サービス分野においては、対面を要する手続等一部の手続を除くほとんどすべての手続について、24
時間365 日オンライン申請を受け付けているところであり、「IT新改革戦略」において、国・地方公共
団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を、2010(平成22)年度までに50%以上とする
ことが目標とされている。この目標を達成するため、2006 年3月に策定した「オンライン利用促進のため
の行動計画」に基づき、取組みを進めている。これを受けて、2008 年1月には、「厚生労働省電子申請オ
ンライン利用促進緊急対策」を策定するとともに、2月にオンライン申請の受付窓口を電子政府の総合窓
口(e-Gov)に移行したところである。
さらに、2008 年9月には、これまでの取組みを抜本的に見直し、新たな目標を設定の上、種々の改善措
置を集中的に講ずることとした「オンライン利用拡大行動計画」(2008 年9月12 日IT戦略本部決定)が
策定され、各種取組みを進めているところである。
具体的には、政府全体として、①2009(平成21)年度から3年間に集中的に取り組む重点的な取組み事
項を策定したこと、②特に利用件数が多い手続等を重点手続として選定し、重点手続分野ごとに新たな目
標率を設定したこと等が柱となっている。
厚生労働省としては、国民や企業による利用頻度が高い手続を中心に、労働保険・社会保険分野の21 手
続を重点手続として選定し、また、そのうち取組みの効果が比較的早期に現れやすい手続を先行手続とし
て位置づけ、2013(平成25)年度までに重点手続全体の電子申請利用率70%を、先行手続においては、2011
年度までに65%を達成するという目標を掲げ、これまで以上の積極的な取組みを行うこととしたところで
ある。
なお、IT の活用による国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化の実現のため、2005 年度に社会保
険・労働保険分野などの業務について、それぞれ「業務・システムの最適化計画」を策定し、現在、12 業
務についてこの計画に基づき、業務及びシステムの最適化に取り組んでいる。
国民年金及び厚生年金保険の年金加入状況については、インターネットバンキング等で広く用いられてい
るID・パスワード認証方式を活用することにより、2006 年3月から、インターネットによる被保険者に
対する記録照会サービスを実施している。また、2009 年3月からは年金受給者についてもこのサービスが
利用できるように対象を拡大したところであり、ITの活用によりいつでも御自身の年金記録を確認でき
る環境を整備している。
3 個人情報保護
「個人情報の保護に関する法律」(2005(平成17)年4月1日全面施行)の施行に伴い、厚生労働行政
の分野においても、その分野の実情に応じたガイドライン等を策定した。
同法の全面施行後、個人情報に関する国民の意識が高まる一方、法律に対する誤解等に起因して、各種名
簿の作成が中止されたり、個人情報取扱事業者が大規模災害や事故等の緊急時における家族等への情報提
供を拒否するなど、「過剰反応」といわれる状況も一部に見られた。
このような状況を踏まえ、2006(平成18)年2月に、政府として「過剰反応」等に対して、法の解釈や
運用基準を明確化し、ガイドライン等を必要に応じて見直し、民間事業者等へ周知徹底等の取組みを連携
して推進することとされたことを受けて、同年4月には、「医療・介護関係事業者における個人情報の適
切な取扱いのためのガイドライン」の見直しを行った(図表9-4-2)。
第2部
第9章
行政体制の整備●第9章
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第5節 情報公開・個人情報保護の推進
1 行政機関情報公開法の施行
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(行政機関情報公開法)(2001(平成13)年4月1日
施行)は、政府の諸活動に係る説明責任が全うされるようにするとの考え方を基本に、何人も国の行政機
関の保有する行政文書の開示を求めることができる権利を定めたものであり、厚生労働省としても、同法
に基づき、保有する行政文書について開示請求があった場合は、不開示情報として規定された六つの類型
(①個人に関する情報、②法人等に関する情報、③国の安全等に関する情報、④公共の安全等に関する情
報、⑤審議、検討等に関する情報、⑥行政事務・事業に関する情報)に該当するもの以外の情報を開示し
ている。
2007(平成19)年4月から2008(平成20)年3月までの厚生労働省に対する開示請求件数は6,007 件で
あり、この受付件数は他府省庁と比較しても相当程度多く、また、その開示請求のあった分野も広範囲に
わたっており、国民生活に密接に関連する厚生労働行政に対する国民の関心の高さをうかがうことができ
る。
第9章
244 厚生労働白書21
また、同時期における開示決定等件数は4,873 件(取下げが1,068 件)であり、開示決定等件数のうち、
開示請求のあった行政文書をすべて開示した件数は741 件、部分的に開示した件数は3,839 件、開示を行わ
なかった件数は293 件であった。
2 行政機関個人情報保護法の施行
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(行政機関個人情報保護法)(2005(平成17)年4
月1 日施行)は、行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適
正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的としたものであり、厚生労働省とし
ても、同法に基づき、保有する個人情報について開示請求があった場合は、不開示情報として規定された
七つの類型(①生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報、②開示請求者以外の個人に関する
情報、③法人等に関する情報、④国の安全等に関する情報、⑤公共の安全等に関する情報、⑥審議、検討
等に関する情報、⑦行政事務・事業に関する情報)に該当するもの以外の情報を開示している。
2007(平成19)年4月から2008(平成20)年3月までの厚生労働省に対する開示請求件数は2,369 件、
訂正請求件数は15 件、利用停止件数は1 件であった。この受付件数は他府省庁と比較しても相当程度多く、
行政事務の性格上、個人情報を多数保有する厚生労働省の特徴を示している。
また、同時期における開示決定等件数は2,311 件(取下げが34 件)であり、開示決定等件数のうち、開
示請求のあった個人情報をすべて開示した件数は1,191 件、部分的に開示した件数は1,062 件、開示を行わ
なかった件数は58 件であった。
3 公益通報者保護法の施行
2006 年(平成18)年4月1日に、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公
益通報に関し事業者及び行政機関が取るべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、
国民の生命、身体、財産、その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安
定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする「公益通報者保護法」が施行された。厚生労働省
においては、公益通報窓口を設置し、内部職員等及び外部の労働者からの公益通報の受付を行っている。
受理した公益通報については、通報に関する秘密を保持した上で、必要な調査を行い、通報対象事実があ
ると認められる場合は、法令に基づく処分又は勧告等の措置を講ずることとしている。
第6節 政策評価等の取組み
1 政策評価の取組み
厚生労働省における政策評価については、2007(平成19)年度から2011(平成23)年度までを計画期間
とする「厚生労働省における政策評価に関する基本計画(第2期)」(第2期基本計画)に基づき実施し
ているところである。
2008(平成20)年度の具体的な実施状況は、次のとおりである。
(1)事前評価については、①新規事業(平成21 年度予算の概算要求を伴う新たな政策(事業)で、1億
円以上の費用を要する重点的なもの又は10 億円以上の費用を要するもの)29 件、②個別公共事業(事
業採択時)28 件、③個別研究事業32 件、④規制の新設・改廃に係る政策23 件に関して事業評価方式
によりそれぞれ実施した。
第2部
第9章
行政体制の整備●第9章
厚生労働白書21 245
(2)事後評価については、①厚生労働行政全般にわたる施策(12 の基本目標及び69 の施策目標からなる
政策体系)のうち41 件に関して実績評価方式により、②「経済財政改革の基本方針2007」に基づき、
2007 年11 月の経済財政諮問会議において提示された政策評価の重要対象分野3件に関して総合評価
方式により、③個別公共事業(事業採択後5年経過時に継続中のもの)78 件、④個別研究事業515 件、
⑤新規事業の事前評価を実施した事業のうち事業開始から3年を経過したもの12 件、⑥成果重視事業
7件に関して事業評価方式によりそれぞれ実施した。
これらの評価結果については、2008 年4月以降順次公表している。
また、2009 年3月の実施計画策定等において、各施策目標等の達成度を測定する指標を、可能な限り、
国民生活や社会経済に及ぼされる変化や影響を測るアウトカム指標とするなどの見直しを行った。
2 独立行政法人評価の取組み
厚生労働省独立行政法人評価委員会においては、所管する16 独立行政法人(共管法人2法人を含む。)
の評価体制の充実を図るため、2003(平成15)年7月以降、委員会の下に六つの部会が設けられ、各部会
が担当法人を分担して、各事業年度の業務実績の評価などを行っている。
2008(平成20)年度は、同委員会において共管法人2法人を除く14 法人の2007(平成19)年度の業務
実績の評価結果が取りまとめられ、公表されるとともに、2007 年度に中期目標期間が終了した独立行政法
人福祉医療機構、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、独立行政法人勤労者退職金共済
機構及び独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の中期目標期間全体の業務実績の評価結果が取りまとめ
られ、公表されたところである。
また、2008 年度に中期目標期間が終了する法人の次期中期目標案等についても審議が行われた。
第7節 厚生労働省改革の推進について
1 厚生労働省における改革の取組みについて
厚生労働省では、2008(平成20)年を「厚生労働省改革元年」と位置づけ、様々な取組みを進めている。
具体的には、
① 職員から省改革の意見を直接大臣が受け付ける「改革ホットライン」の設置
② 国民の目線に立って厚生労働省を新しい組織に生まれ変わらせるため、「改革ホットライン」への職
員の提案などを踏まえ、改革を進める大臣直属の「改革推進室」の設置
③ 厚生労働行政について、広く国民に情報を提供し、必要な情報は国民と共有することが不可欠という
観点から、広報体制の強化を図るため、各部局に一人ずつ広報委員を任命し、メディアや国民に対して
迅速に情報を提供するための体制の整備
④ 有識者からの意見聴取等を行いつつ、職種を超えた人事異動・研修・人事交流など人事政策の在り方
について検討するための会議の設置
⑤ 人生85 年ビジョン、安心と希望の医療確保ビジョン、安心と希望の介護ビジョンの設置など様々な政
策ビジョンの検討
等の取組みを行っている。
2 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」について
第9章
246 厚生労働白書21
このような中、国民の目線に立った厚生労働行政全般を総点検し、その在り方を検討し、再構築を図るた
め、2008(平成20)年8月から「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が内閣官房において開催された。
懇談会では問題事例の反省と将来に向けた機能強化の観点から行政運営の見直しについて検討が行われ、
同年12 月に「中間まとめ」として提言が出された。
また、「中間まとめ」において更に検討を深めることとされた行政組織・体制の在り方については、ガバ
ナンスの強化や直面する課題へ適切に対応するといった観点から検討が進められ、大臣のガバナンスの強
化、機動的・横断的な対応体制の強化、少子化対策や非正規労働者対策への的確な対応などが提言された。
こうした組織・体制の提言と「中間まとめ」の提言を合わせて、2009(平成21)年3月に「厚生労働行
政の在り方に関する懇談会最終報告」として取りまとめられた。
3 改革工程表の作成と計画的な改革の推進
厚生労働省では、「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の提言などを踏まえ、その具体化と実施の検
討を行うため、2008(平成20)年12 月に事務次官を主査とする「省内改革推進プロジェクトチーム」を設
け、全省的な取組みを行う体制を構築するとともに、2009(平成21)年2月には、「厚生労働省改革の工
程表」を作成・公表し、改革が必要な諸課題について計画的に取り組んでいる。
また、この改革工程表については、同年4月に改定を行い、
① 組織・体制の提言を具体化するための取組みを新たに盛り込むとともに、
② 進捗状況の点検を踏まえた見直しを行うなど、
改革の迅速・的確な実施を図っている。
(少子化対策統括本部)
厚生労働省の少子化対策について、一元的かつ制度横断的な検討を行うとともに、あらゆる施策を少子化
対策の推進という観点から捉え直して展開するため、厚生労働審議官を本部長とする少子化対策統括本部
を設置した(2009 年7月)。また、本部長の直属の検討チームとして、事務局に「少子化対策推進室」を
設置し、民間からの人材を登用するとともに、関係部局と連携し、少子化対策を推進していくこととして
いる。
(大臣政策室・政策官の設置)
省庁横断的な課題が増加するとともに、進んだ技術・実務を行政に積極的に活用していく必要性が増大す
る中、国民生活に関わる広範な課題に的確かつ迅速に対応するため、改革推進室を改組し、「大臣政策室・
政策官」を設置した(2009 年7月)。大臣政策室・政策官は、厚生労働大臣が重要な政策課題等について
適時・適切な判断を行うに際しての補佐を行うこととしている。
(医療・介護の連携)
医療・介護の連携と機能強化に向けて、医療・介護の制度や報酬の見直しを統一的な方針の下で整合的に
行うため、厚生労働事務次官を議長とする「医療・介護改革調整会議」を設置した(2009 年7月)。また、
調整会議の下に、特に連携が必要とされる政策課題について調整を行うため、「医療・介護の連携と機能
強化に関するプロジェクトチーム」を設置した。さらに、調整会議には、医療・介護の利用者を始めとし
た外部の有識者により構成されるアドバイザリーグループを設けることとした。

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