第2部
第8章
国際社会への貢献と外国人労働者問題等への適切な対応●第8章
厚生労働白書21 227
第8章
国際社会への貢献と外国人
労働者問題等への適切な対応
第1節 国際機関活動等への積極的参加・協力
近年、厚生労働行政の多くの分野で、国際社会での動きと国内政策が連動するようになってきている。例
えば、鳥・新型インフルエンザなどの感染症対策は、国境を越えて世界の経済社会に大きな影響を与える
ことが懸念され、金融危機下での雇用システムの安定にどう取り組んでいくかは、各国共通の課題となっ
ている。このため、日本国民の健康と生活の安定を守るには、WHOやILOを始めとする国際機関、二
国間交渉などの場面で、的確に対応することが重要となってきているのである。
1 WHO等を通じた活動
世界保健機関(World Health Organization:WHO)は、すべての人々が可能な最高の健康水準に達する
ことを目的とし、感染症対策、医薬品・食品安全対策、健康増進対策等を行う国際機関である。我が国は、
WHO総会や執行理事会における審議や決定等に積極的に関与しており、2009(平成21)年5月から2012
(平成24)年5月までの3年間、34の執行理事国のうちの一つとして任期を務めている。なお、現在の事
務局長は、2007(平成19)年からマーガレット・チャン氏が就任している。
2009年6月12日、豚由来の新型インフルエンザA(H1N1)の世界的拡大を受け、WHOはその感染
段階をフェーズ6(パンデミック:世界的まん延状況)と宣言した。国内での感染が発生した後も迅速な
対応を図った我が国は、WHOを通して我が国における対策・取組みを迅速かつ的確に情報発信し、国際
的な協力の推進に取り組んでいるところである。
2005(平成17)年5月のWHO総会において採択された、疾病の国際的な伝播を最大限防止することを
目的とした改正国際保健規則(International Health Regulation: IHR)が、2007年6月に発効したこと
を受け、「原因を問わず、国際的な公衆衛生上の脅威となりうる、あらゆる事象」を評価後24時間以内にW
HOに通報し、その後も引き続き詳細な公衆衛生上の情報をWHOに通報することとなった。新型インフ
ルエンザA(H1N1)が国内発生した際には、本規則に基づきWHOに通報した。
このほか、喫煙が健康、社会、環境及び経済に及ぼす影響から現在及び将来の世代を保護することを目的
とする「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が2005年2月に発効し、我が国は2004(平成16)
年6月に受諾した。2007 年6月から7月にかけて開催された第2回締約国会合では、「たばこの煙にさら
されることからの保護に関するガイドライン」が採択された。
第8章
228 厚生労働白書21
2 ILOを通じた活動
国際労働機関(International Labour Organization:ILO)は、労働条件の改善を通じて社会正義の実
現等に寄与することを目的として、雇用・労働の分野における国際的な取組みを行う機関であり、労働組
合や使用者団体も交えた政労使三者構成を特徴としている。
近年ILOは、「ディーセント・ワーク・フォー・オール(すべての人に働きがいのある人間らしい仕事
を)」を目標に掲げ活動を行っている。我が国では、2006(平成18)年8月及び9月のアジア地域会合で
「アジアにおけるディーセント・ワークの実現に向けた10年」が宣言されたことを受けて、ディーセント・
ワークは、人々が働きながら生活している間に抱く願望の集大成としての概念であり、厚生労働行政の目
指すべき仕事及び働き方の在り方の総体を示すものであると整理し、労使と協力して、その実現に向けて
活動することとしているところである。
また、ILOでは、例年6月にジュネーブにおいて総会を開催し、労働条件の向上等を目的としたILO
条約等の策定及び各種労働問題に関する議論を行っている。2008(平成20)年の総会においては「公正な
グローバル化のための社会正義に関するILO宣言」等が採択された。このほか、定期的に地域会合や産
業部門別会合を開催している。
なお、現下の経済・金融危機に対する雇用及び社会政策の対応を議論するため、2009(平成21)年6月
のILO総会では、雇用危機に関するサミット等が開催された。
3 OECDを通じた活動
経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)は、先進諸
国が共通する経済・社会問題について意見交換等を行い、経済成長に貢献することを目的とした国際機関
である。厚生労働省では、保健医療、社会保障及び雇用労働問題等の会合に積極的に参加している。
現在は、2006(平成18)年6月に公表された「OECD新雇用戦略」(1994(平成6)年)に取りまと
められた「OECD雇用戦略」の改訂版)に基づきフォローアップ作業が進められている。また、昨今の
経済危機への対応について情報交換・政策分析を進めているところである。我が国も国別研究作業に携わ
るなど積極的に貢献している。
上記フォローアップの結果及び労働市場、社会政策における経済危機への対応については2009(平成21)
年9月に開催されるOECD雇用労働大臣会合において議論される予定である。
4 G8、ASEAN等を通じた活動
先進国首脳会議(G8サミット)の関連閣僚会合の一つとして、G8労働大臣会合がお互いの知見を持ち
寄って雇用失業問題に対処するために開催されている。2009(平成21)年は3月にイタリア・ローマにて、
2008(平成20)年秋以降の世界的な金融危機が労働市場に与えた影響を議題として開催された。なお、2008
年5月には日本・新潟で開催され、「長寿化と調和したバランスよい人生の実現、労働弱者・地域差に対
する政策的寄与、労働と地球環境」について話し合われた。
2008 年7月に開催されたG8北海道洞爺湖サミットでは、ミレニアム開発目標(MDGs)のうち、特
に保健に焦点をあて、保健分野の行動原則を盛り込んだ「洞爺湖行動指針」の中で、感染症対策、母子保
健、保健医療従事者育成等を含む保健システム強化に取り組むことに合意した。日本は2008年5月に三大
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第8章
国際社会への貢献と外国人労働者問題等への適切な対応●第8章
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感染症に関する国際会議1、11 月に保健システム強化に関する国際会議2を開催するなど、様々な取組みを
通じて国際的な議論を牽引してきている。
また、東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations:ASEAN)と日本、韓国、中国
の3か国との連携強化の流れの中で、ASEAN+3(日中韓)の保健大臣会合、労働大臣会合及び社会
福祉担当大臣会合が下記のようなテーマでそれぞれ開催されている。
2007(平成19)年12月にASEAN+3保健大臣会合社会福祉大臣会合(ベトナム・ハノイ:テーマ「開
発における障害のメインストリーム化:将来に向けた教訓と行動」、2008 年5月にASEAN+3保健大
臣会合労働大臣会合(タイ・バンコク:テーマ「脆弱な部類の労働におけるディーセント・ワークの促進」、
同年10月ASEAN+3保健大臣会合(フィリピン・マニラ:テーマ「貿易自由化:ボーダーレスな保健
の問題に対する負の影響」)が開催された。また、世界的な広がりを見せている新型インフルエンザ問題
にASEAN+3諸国で協力して対応するため、2009 年5月にASEAN+3保健大臣新型インフルエン
ザ緊急会合がバンコクで開催された。さらに、厚生労働省はこれらの分野にASEAN+3の枠組みを活
用して積極的に協力を行っている(後述)。
さらに、アジアと欧州間で対話・協力関係を構築することを目的としたアジア欧州会合(Asia-Europe
Meeting:ASEM)における労働・雇用大臣会合への参加等を行っているところである。
このほか、2007年以降日中韓三国保健大臣会合が開催され、2008年11月に北京で第二回会合が開催され
「新型インフルエンザ対策における日中韓三国共同行動計画」に署名し、2009 年には、同会合の東京での
開催が予定されている。
第2節 人づくりを通じた国際社会への貢献
1 厚生労働分野における技術協力
厚生労働省では、保健医療、水道、社会福祉、雇用環境整備、職業能力開発の各分野において、我が国の
知識・経験をいかして、WHO、ILOを始めとする国際機関等を通じ、また外務省や国際協力機構(Japan
International Cooperation Agency:JICA)と協力して、ワークショップ開催、専門家派遣、研修員受
入れ、プロジェクト計画作成指導などの技術協力を行い、開発途上国の人づくり、制度づくりに貢献して
いる。
2 厚生労働省における主な国際協力事業
(1)WHO等を通じた保健医療分野における国際協力
WHO等を通じて、鳥・新型インフルエンザ等の新興・再興感染症対策を強化するため、WHOを中心と
するグローバル感染症警報・対応ネットワーク(Global Outbreak Alert and Response Network:GOA
RN)の強化に努め、国立感染症研究所や国立国際医療センターを中心に専門家の派遣や技術協力を行って
いるほか、エイズ等の感染症拡大に対応するため、UNAIDS(Joint United Nations Programme on H
IV/AIDS)等を通じて保健医療分野の国際協力を行っているところである。
第8章
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(2)ILOを通じた労働分野における技術協力
労働分野において、各種専門技術や幅広い人材等を有するILOに任意の資金拠出を行い、ILOを通じ
て特定国あるいは地域を対象とした技術協力事業(マルチ・バイ事業)を実施している。現在、若年者の
雇用対策に関する事業、国境を越えて移動する労働力の適正管理に関する事業、日本人技術協力専門家育
成事業に加え、WHOとILOの協働事業として健康確保対策事業等を実施している。
また、ASEAN諸国からの協力要請を受け、2002(平成14)年度より健全な労使関係の構築を支援す
べく行ってきたASEAN労使関係プロジェクトは、2008(平成20)年度からは、ILOを通じた技術協力事
業として実施している。
(3)職業能力開発分野における国際協力
開発途上国において人材育成を重視する機運が一層高まっていることから、我が国との経済的相互依存関
係が拡大・深化しつつある東アジアを中心に、質の高い労働力の育成・確保を図るため、「技能評価シス
テム移転促進事業」等の事業を通じて、日系企業と連携しつつ、技能評価システムの構築・改善のための
協力を行うとともに、民間の製造現場における指導者層の育成・確保を積極的に支援している。
また、外務省及びJICAと連携し、開発途上国における職業能力開発関係施設の設置・運営に対する協
力、職業能力開発関係専門家の派遣、職業能力開発関係研修員の受入れなどを行っている。
さらに、ASEAN、アジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation:APEC)及びアジ
ア太平洋地域技能就業能力計画(SKILLS-AP)の枠組みを通じて各種研修事業等の国際協力事業を
実施している。
このほか、開発途上国における職業訓練指導員の養成を支援するため、職業能力開発総合大学校に当該国
からの留学生を受入れている。
(4)ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合
2003(平成15)年度より、社会福祉と保健医療の分野における人材育成の強化及び日本との協力関係の
強化を目的として、ASEAN10か国から社会福祉と保健医療政策を担当する高級実務行政官を招聘
しょうへい
し、
ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合を開催している。2008年(平成20)9月には、東京で第6回会
合を開催し、「次世代健全育成」を中心に、社会福祉・保健・医療サービスの連携と人材育成・地域開発
をテーマとして情報・経験の共有を図った。また、2009(平成21)年8月末には東京で、第7回会合を開
催することとしている。
なお、本会合は、ASEAN+3保健大臣会合及び社会福祉大臣会合を支える事業として実施していると
ころである。
(5)ASEAN・日本HIV/AIDSワークショップ
2003 年よりASEAN地域のHIV/AIDS対策の促進を支援すべく、ASEAN諸国からHIV/A
IDS対策行政官、拠点病院の医療従事者等を招聘
しょうへい
し、ワークショップを開催している。2008 年度は、
2月に国立国際医療センターで、近年の各国のHIV/AIDS対策の進展を共有するとともに抗HIV薬
治療や小児のHIV感染における新たな課題について理解を深める3日間のワークショップを開催した。
(6)労働関係指導者等の招聘研修
中国を始めとしたアジア諸国の行政官、労働関係指導者又はその候補たる中堅幹部等を我が国に招聘
しょうへい
し、
日本国内の企業において我が国の産業・労働事情、経営システムについて研修するとともに意見交換等を
行うことにより、人事・労務管理能力、労使関係、労働環境の整備改善能力等の向上を図り、アジア諸国
における労働分野の自立的な発展に寄与している。
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第8章
国際社会への貢献と外国人労働者問題等への適切な対応●第8章
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第3節 二国間政策対話の推進
1 社会保障・保健福祉分野における政策対話
世界で最も急速に高齢化が進展している我が国においては、共通の課題に取り組む諸外国との国際比較の
中で我が国制度の特性や問題点等について検証し、我が国の政策立案の参考とすることが重要である。こ
のため、2007(平成19)年はノルウェーにおいて、北欧諸国との間で「認知症と技術・論理」についてセ
ミナーを開催した。また、2008(平成20)年は、オーストラリアとの間で生活習慣病対策について双方が
抱える問題点等について、意見交換を行った。
2 雇用・労働分野における政策対話
経済の国際化の進展等に伴い、先進国が抱えるようになった雇用・労働分野における共通の課題を解決す
るため、労使を交えた政策対話が重要となっている。このため、2006(平成18)年4月に韓国政労使との
間で、11月にはドイツ政労使との間で、雇用問題に係る共通の課題について交流を行った。また、2007(平
成19)年11月にフランスで日仏セミナー(テーマ「女性の就労促進と家庭生活の両立」)を、2008(平成
20)年1月に東京で日EU シンポジウム(テーマ「雇用・就労形態の多様化」)2009(平成21)年2月に
東京で日独仏三カ国シンポジウム(テーマ「介護制度」)を行ったところである。
コラム
日本、ドイツ及びフランスが共通に抱える少
子化・高齢化問題について、各国の経験、課題、
対策等について情報交換、討議を行うことを目
的として、2009(平成21)年2月に東京で
「日・独・仏三カ国シンポジウム」が開催され
た。介護をメインテーマに、(1)認知症高齢者の
ケアの在り方、(2)国民が安心して介護を受けら
れる制度の構築、(3)「要介護」の定義及びアセ
スメントの方法、(4)高齢者一人一人の状況に最
適なサービスの提供について闊達な意見が交
わされた。
このシンポジウムはドイツ及びフランスか
ら「日本の介護システムを学びたい」という打
診があり、企画された。今や、高齢化対応先進
国とも言うべき日本の制度が他の先進国に影
響を与える時代になったことを示している。
2009 年2 月、日独仏三カ国シン
ポジウムの様子。左からフランス、
日本(大村副大臣)、ドイツの出席者。
第8章
232 厚生労働白書21
第4節 経済活動の国際化への対応
1 WTOを通じた活動
経済活動が国際化し、ヒト・モノ・カネの国境を越えた動きが活発化する中で、厚生労働省においても対
外経済問題は重要となっている。世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)は、2001(平成13)
年の第4回閣僚会議において合意された「ドーハ開発アジェンダ」に基づく交渉(ドーハラウンド)を行
っており、厚生労働省としても、経済活性化の観点とともに国内に与える影響を十分に考慮しながら、サ
ービス貿易交渉などの場でWTOの活動に積極的に関与している。
2 経済連携協定(EPA)
WTOの多国間貿易体制における自由化を補完する二国間の経済連携協定(Economic Partnership
Agreement:EPA)等の締結により1990年代以降世界各地で経済連携が加速・拡大されてきた流れを受け
て、現在、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全
体及びフィリピンとの協定が発効し、ベトナム及びスイスとの協定が署名に至っている。さらに、オース
トラリアやインド等数か国・地域と交渉を行っている。
これらの交渉では、物品貿易の自由化促進や投資規制等について交渉が行われているが、厚生労働分野で
は、サービス貿易の自由化や「自然人の移動」も対象となっている。特に日フィリピン経済連携協定及び
日インドネシア経済連携協定では、フィリピン人及びインドネシア人の看護師・介護福祉士の候補者に対
し、一定の条件の下で入国し、我が国の国家資格を取得するための研修・就労等を認めている。
3 その他の厚生労働分野の経済交渉について
日米間では2001(平成13)年6月の首脳会議で発表された「成長のための日米経済パートナーシップ」
の下に設置された「規制改革及び競争政策イニシアティブ」において、日EU間では1994(平成6)年に
開始された「日・EU規制改革対話」において、また、日中間では2002(平成14)年に開始された「日中
経済パートナーシップ協議」において、医薬品、医療機器、食品等の分野を始めとした経済協議を行って
いる。
第5節 外国人労働者問題等への適切な対応
1 日系人を始めとする定住外国人に関する就労環境の改善及び離職した場合の支援
2008(平成20)年秋以来、派遣・請負等の不安定な雇用形態にある日系人を始めとする定住外国人労働
者の解雇・雇止めが相次ぎ、集住地域のハローワークに多数訪れるなどの動きが見られる。また、これら
の者は日本語能力の不足や我が国の雇用慣行の不案内に加え、職務経験も十分ではないため、いったん離
職した場合には、再就職が極めて厳しい状況にある。
このため、日系人が集住している地域を中心に、外国人雇用状況の届出制度により把握した情報に、ハロ
ーワークや市町村の窓口で得られた情報を加味し、ハローワークと市町村が共同で日系人の的確な雇用失
業情勢の把握・分析を行っている。
ハローワークや市町村は、これらにより把握・分析した情報を基に、地域の実情を的確に反映した就労支
援、生活支援を行っている。
第2部
第8章
国際社会への貢献と外国人労働者問題等への適切な対応●第8章
厚生労働白書21 233
具体的には、ハローワークと市町村が連携してスペイン語、ポルトガル語等の母国語の通訳を配置した相
談窓口の設置による情報提供・相談体制の構築を行っている。この取組みの中で、ハローワークにおいて
は、日系人就職促進ナビゲーターの活用、各種助成金や住宅確保に関するメニューを効果的に活用するほ
か、積極的な求人開拓の推進に取り組んでいる。また、2009(平成21)年度から、通訳・相談員の配置増
など、機動的な相談・支援体制の強化、日本での再就職を希望する日系人に対し、日本語能力も含めたス
キルアップを行う就労準備研修を行っている。また、帰国を希望する日系人に対しては、家族分も含めた
帰国支援金の支給を行っている。
さらに、ハローワークにおいては、外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するた
めの指針に基づく雇用管理改善及び再就職の援助のための助言、指導を計画的・機動的に実施している。
具体的には、労働・社会保険や労働関係法令の周知啓発に加えて、雇用維持や安易な解雇の防止、再就職
援助の努力についての指導・啓発を行っている。 加えて、不就労の日系人若年者等に対する職業キャリア
形成等、外国人労働者の就業環境の改善を推進している。
2 専門的・技術的分野の外国人の就業促進
専門的・技術的分野の外国人の就業促進の取組みについては、官房長官の下に産官学労で構成された「高
度人材受入推進会議」においても、多様な価値観、経験、ノウハウ、技術を持った外国高度人材を積極的
に受け入れることにより、新たなイノベーションを生み出して行くことが重要とされたところであり、留
学生の国内就職支援も含め、外国人雇用サービスセンターを中心に全国ネットワークを活用して、大学や
地方公共団体等と連携の上で日本国内における就職支援を行うとともに、その能力発揮及び定着促進を念
頭に置き、企業における外国人の雇用管理の改善のための取組みを支援している。
また、同会議及び関係省庁により取りまとめられた「留学生30万人計画(骨子)」も踏まえ、質の高い
留学生の国内就職の促進を図るために、大学、経済団体等との連携を強化し、留学生向けのインターンシ
ップの推進等を行っている。
3 経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の円滑かつ適正な受入れ
経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れは、経済活動の連携強化の観点から、こ
れまで我が国として外国人労働者の受入れを認めてこなかった分野において、二国間の協定に基づき公的
な枠組みで特例的に行うものである(労働市場に悪影響を及ぼさないという観点から、受入れ人数に上限
を設けている。)。
日・インドネシア経済連携協定は、2008(平成20)年7月1日に発効し、同年8月に208 人のインドネ
シア人看護師・介護福祉士候補者(看護104人、介護104人)を受け入れたところであり、2009(平成21)
年については、受入れ機関との雇用契約を締結した候補者を11月に受け入れる予定である。
日・フィリピン経済連携協定は、2008年12月11日に発効したところであり、2009年5月に283人のフ
ィリピン人看護師・介護福祉士候補者(看護93人、介護190人)を受け入れたところであり、就学コース
の介護福祉士候補者(最大50人)を9月下旬に受け入れる予定である。
これら経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れにおいては、公正かつ中立にあっ
せんを行うとともに適正な受入れを実施する観点から、我が国においては社団法人国際厚生事業団が唯一
の受入れ調整機関として位置づけられている。また、協定において認められる滞在の間に国家資格を取得
し、引き続き我が国に滞在できるようにすることが目的であることから、外国人看護師・介護福祉士候補
者に対して国家資格の取得を目標とした適切な就労・研修が実施されるよう、国際厚生事業団とともに、
受入れ施設における就労・研修の支援等に努めている。
第8章
234 厚生労働白書21
4 外国人研修・技能実習制度の適正化と見直し
外国人研修・技能実習制度は、労働力の確保ではなく、技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的
とするものであるが、一部の受入れ企業・受入れ団体において、不適切な研修が行われていたり、技能実
習生に対する賃金未払いなどの事案が発生していることから、受入れ企業などに対する巡回指導の強化を
通じ、制度の適正な運営に努めているところである。また、従来の研修生について、労働関係法令の保護
の下で技能修得活動が行われるよう措置することなどを内容とする出入国管理及び難民認定法の改正案が、
平成21年通常国会に提出され、7月に成立したところである。
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